No.2186 冪乗の片側極限
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作問者 : 👑 p-adic / テスター : 遭難者
問題文
入力に非負整数 $A,B$ が与えられます。
片側極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
を求めてください。
以下、片側極限の定義を知らない人向けの説明をします。(クリックで開く)
定義(片側極限)
次の条件を満たす実数 $\alpha$ がただ1つ存在する:
- 任意の正実数 $\epsilon$ に対し、次の条件を満たす正実数 $\delta$ が存在する:
- 任意の正実数 $x$ に対し、$0 < x - B < \delta$ ならば $|A^x - \alpha| < \epsilon$ である。
そのような $\alpha$ を
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
と書き表す。
入力
入力は次の形式で標準入力から与えられます:
$A$ $B$
制約
入力 $A,B$ は以下の制約を満たします:
- $A$ は $10$ 以下の非負整数
- $B$ は $10$ 以下の非負整数
出力
片側極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の値を $1$ 行に出力し、最後に改行してください。
ただしこの値は $A,B$ の制約下で非負整数であることが知られています。
符号や小数点を用いずに出力してください。
サンプル
サンプル1
入力
1 2
出力
1
今回は $A = 1$、$B = 2$ です。
$\alpha = 1$ と定めた時に $\alpha$ が片側極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の定義を満たすことを示しましょう。
$\epsilon$ を正実数とします。正実数 $\delta$ を $100$ と定めます。この $\delta$ が条件
「任意の正実数 $x$ に対し、$0 < x - B < \delta$ ならば $|A^x - \alpha| < \epsilon$ である」
を満たすことを確認すれば良いです。
$x$ を正実数とし、$0 < x - B < \delta$ とします。この時、
$\displaystyle |A^x - \alpha| = |1^x - 1| = |1 - 1| = 0 < \epsilon $
となるので、$\delta$ が確かに条件を満たすことが確認できました。
以上より、$\alpha$ が確かに片側逆極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の定義を満たすことが確認できました。
サンプル2
入力
2 3
出力
8
今回は $A = 2$、$B = 3$ です。
$\alpha = 8$ と定めた時に $\alpha$ が片側極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の定義を満たすことを示しましょう。
$\epsilon$ を正実数とします。実数 $\delta$ を
$\displaystyle \delta = \log_2 \left( 1 + \frac{1}{8} \epsilon \right) $
と定めると、これは $1$ より大きい正実数に $\log_2$ を適用したものなので正となります。
この $\delta$ が条件
「任意の正実数 $x$ に対し、$0 < x - B < \delta$ ならば $|A^x - \alpha| < \epsilon$ である」
を満たすことを確認すれば良いです。
$x$ を正実数とし、$0 < x - B < \delta$ とします。この時、
$\displaystyle |A^x - \alpha| = |2^x - 8| = 8 \times |2^{x-B} - 1| $
となります。$0 < x - B < \delta$ より
$\displaystyle 2^0 < 2^{x-B} < 2^{\delta} $
すなわち
$\displaystyle 1 < 2^{x-B} < 1 + \frac{1}{8} \epsilon $
となります。従って各辺から $1$ を引くことで
$\displaystyle 0 < 2^{x-B} - 1 < \frac{1}{8} \epsilon $
を得ますが、絶対値の定義から特に
$\displaystyle |2^{x-B} - 1| < \frac{1}{8} \epsilon $
となります。このことと先程示した等式
$\displaystyle |A^x - \alpha| = 8 \times |2^{x-B} - 1| $
を合わせて
$\displaystyle |A^x - \alpha| < \epsilon $
となるので、$\delta$ が確かに条件を満たすことが確認できました。
以上より、$\alpha$ が確かに片側逆極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の定義を満たすことが確認できました。
サンプル3
入力
3 2
出力
9
今回は $A = 3$、$B = 2$ です。
$\alpha = 9$ と定めた時に $\alpha$ が片側極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の定義を満たすことを示しましょう。
$\epsilon$ を正実数とします。実数 $\delta$ を
$\displaystyle \delta = \log_3 \left( 1 + \frac{1}{9} \epsilon \right) $
と定めると、これは $1$ より大きい正実数に $\log_3$ を適用したものなので正となります。
この$\delta$ が条件
「任意の正実数 $x$ に対し、$0 < x - B < \delta$ ならば $|A^x - \alpha| < \epsilon$ である」
を満たすことを確認すれば良いです。
$x$ を正実数とし、$0 < x - B < \delta$ とします。この時、
$\displaystyle |A^x - \alpha| = |3^x - 9| = 9 \times |3^{x-B} - 1| $
となります。$0 < x - B < \delta$ より $\displaystyle 3^0 < 3^{x-B} < 3^{\delta} $
すなわち
$\displaystyle 1 < 3^{x-B} < 1 + \frac{1}{9} \epsilon $
となります。従って各辺から $1$ を引くことで
$\displaystyle 0 < 3^{x-B} - 1 < \frac{1}{9} \epsilon $
を得ますが、絶対値の定義から特に
$\displaystyle |3^{x-B} - 1| < \frac{1}{9} \epsilon $
となります。このことと先程示した等式
$\displaystyle |A^x - \alpha| = 9 \times |3^{x-B} - 1| $
を合わせて
$\displaystyle |A^x - \alpha| < \epsilon $
となるので、$\delta$ が確かに条件を満たすことが確認できました。
以上より、$\alpha$ が確かに片側逆極限
$\displaystyle \lim_{x \to B + 0} A^x $
の定義を満たすことが確認できました。
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